選択理論を使った人格教育
GTAの幼稚園から高校まで、計18クラスもの授業の取り組みを見学させていただいた。その中で、印象的なことがあったので、いくつか紹介できればと思う。
まず、小学校1年生のライティングで「クラスメイトの良いところを書く」という授業が行われていた時のことだ。この授業は決められた自分以外の誰か一人の良いところをカードに書き、その後全員で集まって書いた内容を読み上げ、カードを交換しあうという授業であった。この授業の中で、ある一人の生徒が時間内にメッセージを書き終わらなかった。そして、途中までの内容で発表し、相手にカードを渡した。その時、書きかけのカードをもらった生徒に対し、先生が「こういう時はどう思う?」と聞くと、その生徒は「これが彼の最善だったと思います」と、不満を言うことなくしっかりと答えたのである。
普通の子どもであれば、自分がしっかりとメッセージが書かれたカードをもらえなかったと考え、メッセージを書き終わらなかった子どもに対してマイナスな感情を持ち、時にはそのマイナスな感情をその子どもにぶつけることもあるかもしれない。しかし、GTAでは小学校一年生だとしても、そのようなことはない。GTAでは人格教育の一環として「良い関係を築く」ために選択理論を学んでいるからだ。
選択理論では過去や他人は変えられないということや、「責める」ことは効果的でないということを教えている。良い関係を築くためには、相手が最善の行動をしていることを認めていくことが重要であると、授業の中で学んでいるのである。実際、選択理論でいう「身につけたい習慣」が教室に当たり前のように掲示されていた。
GTAでは、授業や学習環境にうまく選択理論を組み込みながら、生徒の人格教育にも力を入れているのであった。
>>次ページ Chapter3. キャリア形成の先進的な取り組み