子どもがいらっしゃる方は、自分が親になったときに大きな感動を味わったことでしょう。
自分の子どもの寝顔を見ながら、
「元気で育ってくれれば、それだけでいい」と感じたのではないでしょうか。
まだ子どものいらっしゃらない方でも、両親に自分が生まれた時のことを尋ねてみると、
ああだった、こうだったと嬉しそうに話してくれることと思います。
生まれた時は「元気でいてくれれば」だけだった願いも、
いつの間にか、こんな子に育ってほしい、こんな将来を歩んで欲しいという期待が強くなって、
子どもにその期待を押し付け、苦しめてしまうことも多くあります。
もちろん子どもに期待をかけ、愛情を注ぐのは大切なことですが、
その期待が大きくなり過ぎて子どもにとってプレッシャーになると
子どもは自由を求めて非行に走ったりしてしまったり、
事あるごとに親に対して抵抗してしまうこともあるかもしれません。
そもそも、親の子どもへの期待はどこからくるのでしょうか?
親の子どもに対する期待は、ときに自分の「願望」(求めているもの)の投影であることもあります。
自分がこういう人生を歩みたかった、でもできなかった。
こんなことをしておけばよかった、でもできなかった。
だから子どもにはという想いから派生することが多いように思います。
そんな、自分が手に入れられなかった願望を
無意識のうちに子どもに託していることもあるのではないでしょうか。
しかし、自分に「求めている未来」があるように、
子ども一人ひとりにも「求めている未来」があります。
それぞれに、好きなことやどんな将来を歩んでいきたいのかという自分の意思があるのです。
選択理論心理学によると、親子関係で大切にすべきものは信頼の確立であり、
これは「子どもが何を言っても、また何をしても、
親が子どもを拒否することはないということを意味している」状態と説明しています。
頭ではわかっていても、毎日子育てに向き合うなかで、
つい子どもに対してカッとなってしまったり、
期待を押し付けてしまうこともあるでしょう。
そんなときは立ち止まり、何よりも大切なのは子どもと親しい関係を築くことであり、
子どもとの距離を引き離すようなことをしないと意識し、 子どもが生まれた時に感じていた
「元気に育ってくれればいい」という感情を思い出してみると良いかもしれません。