クオリティ・スクール訪問記

様々な取り組みの背景にあるもの

保護者も主体的に選択理論を学ぶ▲保護者も主体的に選択理論を学ぶ

ケイ教育長にGTAが成功している理由を尋ねてみたところ、GTAの様々な取り組みの背景には「カスタマー・サービス」の精神があるということを教えてくれた。つまり、学校運営であっても、お客様である保護者の満足を一番に考えるということである。そして、ケイ教育長によると保護者の満足に必要な3つの信条が、「SAFE」「LOVED」「LEARN」だと言う。つまり、子供たちが物理的にも精神的にも「安全」を感じ、先生から「愛され」、「学んでいる」ことが、最も重要なのだというのである。

GTAの方針や授業の内容はすべてこの3つの信条から判断されるという。学校は、保護者の求めるものを満たし続ければ、つまり子供たちが「SAFE」「LOVED」「LEARN」の状態にあることを示し続ける限り、支持され続け、存続することができるのだと言う。
GTAでは、保護者の上質世界を満たす具体的な取り組みとして、先生は毎朝「カープール」で生徒と保護者を出迎える。また、火曜日には「チューズデイ・トーク」という場があり、校長に対して保護者が直接意見したり、質問したりできる場が設けられている。
先生は保護者からのメールや電話には必ずその日のうちに返信することになっており、また保護者はいつでも授業を見学することができる。保護者が校長にコンタクトしたい時も、秘書を通すことなく直接コンタクトが取れるようになっている。
こうした細かい一つひとつのカスタマー・サービスを重ねることが、保護者の上質世界を満たしていき、学校への信頼や満足に繋がっているのだと言う。

視察を終えて

訪問をアレンジしていただいたケイ教育長▲訪問をアレンジしていただいたケイ教育長

クオリティ・スクールを視察して意外だったことは、先進的な取り組みに見えたクオリティ・スクールが非常に「アナログ」な要素を重視した運営をしているということだ。実際に見学してみて、先生も生徒も、誰に強制されるわけでもなく、自由にのびのびとしていたし、素晴らしい教育が行われていることに何度も驚かされた。しかし、そういった成果の秘密は、体系化されたカリキュラムや、先生の育成マニュアルなどではなく、教育長と先生のこまめなコミュニケーションや、先生の1回1回の授業への情熱であると感じた。そして、その根本にあるのは、「人」を常に中心に置く姿勢であり、それが最も重要であることは万国、そしてどんな教育においても変わらないということを改めて感じる視察となった。

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用語紹介

現実世界
人を取り巻く外界に存在する世界のことを現実世界と呼び、誰の知覚のシステムも通過せず、解釈が加えられていないものである。しかし、私たちが「現実世界」について話す時、それは一人ひとり異なる知覚を通った、「知覚された世界」について話しているに過ぎない、つまり、他人は自分と同じようには世界を知覚していないと...
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